夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

アガサ・クリスティー他「厭な物語」(読書中)

 お人形を恐怖の対象として捉えるのはあんまり好ましくないし別に怖いと私は思わないのですが(スタージョンの「人間以上」の昔の表紙のはマジで怖いけど)。ちなみに私、暗がりでひな壇状態でたくさん飾られた市松人形を見ても怖いと思わなかったよ。ブギーマンとチャッキーは死ぬほど怖いけど。

厭な物語 (文春文庫)

厭な物語 (文春文庫)

 

↓こちらの本、新版ともに古書価が上がっていて、表題作の評判がいいので気になっていたのだけど、最近文庫化がニュースになりました。10月発売。ずーっと待っていたので嬉しい。

ということで、↑こちらに「くじ」だけは所収されているので読んでみた(無粋結構)

くじ (異色作家短篇集 12)

くじ (異色作家短篇集 12)

 

 シャーリイ・ジャクスン「くじ」深町眞理子

「厭な物語」というアンソロジーに編まれているんだから厭な話に決まっているだろとわかって読んだ分驚きは半減どころか3分の2減だけど最後までオチまでのんきに行きますよ、という展開なのでそれがむしろ怖い。

平穏の裏にはなにかある感じ、それが非常に重たく不気味なのはアーシュラ・ル・グインの「オメラスから歩み去る人々」を思い出させるところもあり。

 ↓こちらに所収。表紙が変わる前のものを持っているけれど、再版されるまで一時期1万円以上の値段がついていたやつ。ドラマの影響もあるらしい。短いお話なのに一生忘れられないくらい重たいですよ。たまに頭にちらつくもの。

風の十二方位 (ハヤカワ文庫 SF ル 1-2) (ハヤカワ文庫 SF 399)

風の十二方位 (ハヤカワ文庫 SF ル 1-2) (ハヤカワ文庫 SF 399)

 

 ということで、アンソロジーを冒頭作から読まずつまみ食いしたのだけど、ラインナップはすごそうなので読んでいこう…

最近退屈だから刺激的で感じの悪いお話が読みたくなってきている…

 

アガサ・クリスティー「崖っぷち」中村妙子訳

良心と本心の境目でギリギリのところでの読み間違いに確かにこれは後味が悪い、と思ったらアガサ・クリスティーはさすがイギリス人、ラストですごく意地悪!うまい!と。こういうの大好き。

 

パトリシア・ハイスミス「すっぽん」小倉多加志

Le Ballon Rouge: (The Red Balloon)

Le Ballon Rouge: (The Red Balloon)

 

 なんだかこの作品の子供を想像させるような少年が出てくるけど、物語はひどい。

ちなみに私、↑この本を持っているのよね。

年齢層は違えどこういう話は最近現実でも増えてきているが、書かれた時代を鑑みてアダルトチルドレンの走りかしら。子供の行いを完全に否定したくない私がいるわ。

この作品は「11の物語」にも所収。

11の物語 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

11の物語 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

 たぶん持ってる。表紙の絵がちがうけど、むかしミステリアスプレス版で出ていたんじゃないかな。(調べた)合ってた。

 

 モーリス・ルヴェル「フェリシテ」田中早苗

 全私が泣いた。いい話のように感じるけれどこのアンソロジーの趣から言うと…と考えると、やっぱり。

 ちなみに↓こちらの本に所収で、私は持っている。田中早苗さんは戦前の方なので翻訳の言葉が美しくてそこにも注目。さようならって、漢字でああ書くのね。うっとり。

夜鳥 (創元推理文庫)

夜鳥 (創元推理文庫)

 

 ジョー・R・ランズデール「ナイト・オブ・ザ・ホラー・ショウ」高山真由美訳

 「フェリシテ」が美しめで救いのない話だったのに対し、こちらは超絶胸糞の悪くなる救いのない話。

クソ野郎しか出てこない。が、どこの基準かで最強のクソ野郎が一周回っていいやつに見えたがやっぱりクソです。しかし胸糞が悪い話なのに一周回って面白くもあった。たぶんクエンティン・タランティーノが好きだったら好きかも。でも本当に読むのに注意。気分が悪くなるよ。

 ↓こちらに改題、翻訳家も違う同作が所収。いや誰が訳しても気分悪いよ。

シルヴァー・スクリーム 上 (創元推理文庫)

シルヴァー・スクリーム 上 (創元推理文庫)

 

 作中に「蝿のよってきそうな顔」という表現があってそこが気に入ってしまったのでいつかどこかで使うかもしれないが、そんなことを思われた顔ってどんな顔なんだろ…

 

ウラジーミル・ソローキン「シーズンの始まり」

呑気な感じのする狩りのようで、ある一語が変わるだけで戦慄。さすが…

 

フランツ・カフカ「判決 ある物語」

なんでそうなる?ってオチ。実は初カフカ。うーん、繊細なん?周りに気を遣いすぎるん?