夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

スティーグ・ラーソン 「ミレニアム2 火と戯れる女」

 

ミレニアム2 火と戯れる女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ミレニアム2 火と戯れる女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

 

7月19日上巻読了

 女性調査員リスベットにたたきのめされた後見人のビュルマンは復讐を誓い、彼女を憎む人物に連絡を取る。そして彼女を拉致する計画が動き始めた。その頃ミカエルらはジャーナリストのダグと恋人ミアが進める人身売買と強制売春の調査をもとに、『ミレニアム』の特集号と書籍の刊行を決定する。ダグの調査では背後にザラという謎の人物がいるようだ。リスベットも独自にザラを追うが、彼女の拉致を図る者たちに襲撃された!

1巻はハードカヴァーで一気読みだった。映画はデヴィッド・フィンチャー版だけ見ていて、原作に沿った内容なので特に新しい驚きはなかったけれどオープニングとルーニー・マーラにはときめいたもの。

しかし作中に見られる主人公のミカエルのモテっぷりの描写、それっているのかな?と疑問に思ったのとなかなか衝撃的な内容だったのに2巻のあらすじを見るとまたも剣呑なので食指が伸びず今日まで。

 

 

そして改めてミカエルがモテる描写って必要なの?エリカの性生活を事細かに語る必要ってあるの?

スウェーデン的には挨拶代わりなんだろうか…

という疑問というかツッコミを随所に感じつつも、リスベットの第二の人生を歩むくだりは気持ちよく読めた。リスベットは大好きなの。

上巻だけではリスベットに何が起こったのかがわからないので、ミカエルはわりとどうでもいいので彼女の行く末が心配。

ミカエルとアルマンスキーというちゃんとした人がリスベットを誤解しない、真摯に向き合おうとするという展開は好きだったが、相変わらず血生臭い。下巻はもっとすごいんだろうか…

 

ミレニアム2 火と戯れる女(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ミレニアム2 火と戯れる女(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

 7月25日下巻読了。

上巻で溢れかえっていた性欲自慢は下巻では鳴りを潜め、リスベットのターンに。

いまこの時にこの2巻を読んだのは、ツイッターでフォロワーさんと話題になったからなんだけど(ダニクレが拷問されやすいイメージの話からだったような…「カジノ・ロワイヤル」でも「ドラゴンタトゥーの女」でもひどい拘束を受けたけどガチすぎて笑えたというアレ)その方も指摘されていたように作者はリスベットが好きなんだろうな。私も好きです。だからちょっと彼女に甘いんじゃない?って思っていたらそうでもなかったし、そういえば1巻でもひどい目に遭っていて、そこからの2巻なのであった。

自分の得にもならないのにリスベットを信じようとする人たちが意外に多いのだけど、結局アルマンスキーは役に立ったのだろうか、彼の功績は3巻に続くのだろうか。

そこも含め、クライマックスがとんでもなかったので途中まではその気じゃなかったけれどすぐにでも3巻が読みたい。が、この辺りにあると見込んだところにはなかった…

 

4巻はいかに再現度が高いと評判でも他人が書いた二次創作だと私は思い込んでいるので興味はないけれど3巻まではちゃんと読みたいし、1巻を読んだら3巻までは読んだほうがいい。

 

リスベットの過去の秘密や立ちはだかる金髪の巨人、事件の黒幕の正体などは、多少はびっくりしたけれどそれより、クライマックスでリスベットがある人へ電話をかけたときのリスベットの言葉遣いが面白くて笑ってしまった。ラストのセリフとのギャップったら。本当にリスベットかわいい。

それと、リスベット中心の描写と同じ場所を他人が見た場合とでぜんぜん違うという表現が面白かった。

リスベットには幸せになってほしいというより平穏な日常を送って欲しいと願うので、本当に3巻を見つけないと…