夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

ケン・リュウ 「蒲公英王朝記 巻ノ二 囚われの王狼」

 

 兄弟のごとき絆を誓ったクニとマタは、ともに帝国軍に挑む。狼の足島で繰り広げられる戦いで、マタは背水の陣を敷いて帝国軍と相対する。いっぽうクニは、驚きの奇策を講じて帝国の首都パンに接近をはかるのだが――。ケン・リュウが贈る幻想武侠絵巻、第二巻。

超一気読み。だいたい長編を読んでいると半分くらいからすごいスパートをかけるところがあるのだけど、こちらの作品は元は1冊の長編でここからが後半に当たるのでそりゃあ最初からスパートがかかるのです。面白ければ特にね。

全く違う出自の二人が兄弟の契りを結ぶほど意気投合したのに、やっぱり離れていたらダメね、周りにいろんな思惑があるとダメね、報告連絡相談大事ね。

主人公の片方は世紀末覇者拳王みたいなところがあるけれど、今回はマッドマックスのフュリオサばりの女傑が出てきて終末感がさらに増し…お話は終末感とかないのに。やっぱり中国の古代の戦いらしく、人の死んでいく数の桁が違うけれど行軍に火を吹くギターとか出ないし…拳王が拳を天につきあげることもなし。拳王というよりサウザー?ってところもあったけれど(まだいう

1巻では女性が嫁と母と酒場の主人とお姫様しかいなかったけれど後半は女性の台頭が目覚ましかった。

例によって私は「項羽と劉邦」を読んでいないからその辺の影響とかはわからないけれど、わからない方が楽しめたかもしれないと、ちょっと思ったり。飛空挺あり潜水艇あり。

次の巻が出るまでまだ随分あると思うのでそれまでに読もうとは思っていますのよ。

年表が欲しいのと、登場人物紹介が、前巻に照らし合わせて「凧に乗って暗殺仕掛けた人」とかあったら思い出しやすかったかも。最近読んだから思いだすのはそんなに大変じゃなかったけれど凧に乗ってた人に関してはいつ出ても名前がピンとこなかった。あとラソウもいつ出ても「…誰?」って。私が片仮名がスウェーデン人の名前以外そこまで得意じゃないので難儀したのかも。口に出したら語感がいいとは思う。特にマタの武器の名前はかっこいいよ。

 

古沢先生の次のお仕事はコナリーらしい。せっかく読める環境になったんだからコナリーも追いつきたいっすねえ。

 

項羽と劉邦(上)(新潮文庫)

項羽と劉邦(上)(新潮文庫)

 
項羽と劉邦 (上) (新潮文庫)

項羽と劉邦 (上) (新潮文庫)

 
項羽と劉邦(下)(新潮文庫)

項羽と劉邦(下)(新潮文庫)

 
項羽と劉邦(中)(新潮文庫)

項羽と劉邦(中)(新潮文庫)

 
項羽と劉邦〈中〉 (新潮文庫)

項羽と劉邦〈中〉 (新潮文庫)

 
項羽と劉邦〈下〉 (新潮文庫)

項羽と劉邦〈下〉 (新潮文庫)

 
項羽と劉邦(上中下) 合本版

項羽と劉邦(上中下) 合本版

 

 合本版買えばよかった…

 

 

 

リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)

リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)

 
リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)

リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)

 

 こっちから読もうかな。ってな。