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夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

アントニィ・バークリー「毒入りチョコレート事件」

こちらの本で挙げられた「マストリード」とされるミステリを順を追って読む企画が以下のブログで始まっていて、書かれているお二人の軽妙なやりとりが好きで、私もできたらやってみたいと思っている。
http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/20140220/1392857254
マストリードと言うだけあって、さすがに私でも読んでいる本が幾つかはあり、確かに挙げられるだけある素晴らしい作品ばかり。それらも読むのか、本当に順を追うのかはいまはあまり考えず(早く読みたいものもあったりね)とりあえず一番に取り上げられている「毒入りチョコレート事件」を読んでみた。Kindleで!最近Kindleに目覚めて(忙しい時に本屋さんで探す時間や手配する時間がないと転びますわなー)iPad miniまで買っちゃったのであった。軽いし、どこででも読みやすいし何より買った本が積読山脈のなかで紛失することはないからいいわね。

ロジャー・シェリンガムが創設した「犯罪研究会」の面々は、迷宮入り寸前の難事件に挑むことになった。被害者は、新製品という触れ込みのチョコレートを試食した夫妻。チョコレートには毒物が仕込まれており、夫は一命を取り留めたが、夫人は死亡する。だが、そのチョコレートは夫妻ではなく他人へ送られたものだった。会員たちは独自に調査を重ね、自慢の頭脳を駆使した推理を、一晩ずつ披露する――。誰がこの推理合戦に勝利するのか。本格ミステリ史上に燦然と輝く、傑作長編。

本格ミステリと呼ばれるものにそんなに興味がないのと、序盤からロジャーが探偵にしてはあんまり魅力的じゃなかったから(よくいる乙に澄ましながらも周りの評価よりは大した人物に思えない英国紳士というか、ちょっとバーティ・ウースター染みた紳士というか)読み出しは大丈夫なのかなあと思っていたけれど、起こった事件というのが、こまかく分析されるにつれて、単なる迷宮入り寸前の事件ではなくなってきたあたりから俄然面白く、書かれたのが1929年だけにこれを踏襲したミステリもあるだろうと、いままで読むなり見るなりしていたいろんなミステリが頭をよぎったが、そもそもそういったものが嫌になって書かれたものであったらしいと、「マストリード100」を読んで知った。

ネタバレを避けたい私は、杉江松恋さんが書かれたこのガイドブックの「あらすじ」の部分だけを読んで「鑑賞術」という部分はあとで読むことにして正解だったかもしれない。別にネタバレはされていないけれど、とくにこの作品においては最後までどうなるかがブレッブレなのに「鑑賞術」を読んでしまうと展開の流れを読んでいくうちにあることに気づいてしまうのだ。

長年読まれている本だから、登場人物のひとりひとりに、起こったエピソードの細かなところに気が行き届いているのか、むしろざっくりしているのかと首をひねりながら読んだけれど、読み終わるととてつもなく緻密にできており、推理小説というものを研究しているのを感じられる作品だった。オチが面白いので途中でイラついても読みましょう。

思い出したのが「十二人の怒れる男」。「十二人の優しい日本人」でもいいけど。
他の場所のシーンもあるけれど、一つのセットで延々と限られた人物で展開される演劇のような雰囲気があり、緊迫感もありあり。その中で探偵のはずのロジャーがブレブレで大丈夫かと。

とにかくロジャーが大丈夫かと気になるのだけどそこがまた作家の狙いだったのかもしれない。
まんまとやられて気持ちよかったです。

次はパーシヴァル・ワイルドの「悪党どものお楽しみ」なのだけど、これは現在入手がちょっと難しい(マケプレでお高い。そして国書刊行会さんなので電子書籍はない)ので図書館で借りてしまいます。

悪党どものお楽しみ (ミステリーの本棚)

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12人の優しい日本人【HDリマスター版】 [DVD]

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