夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

キム・ニューマン 「ドラキュラ紀元」

ドラキュラ紀元 (創元推理文庫)

ドラキュラ紀元 (創元推理文庫)

そもそもこれを読もうと思ったのは「屍者の帝国」を読もうと思ったからで、他にもフランケンシュタインを読んだ方がいいらしいけど(電子書籍で購入済み)回り道をしていながらもなかなか有意義でした。
ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」のヴァン・ヘルシング教授がドラキュラ伯爵に敗れていたら、という世界で起こる話で、図々しくも彼は未亡人だったヴィクトリア女王と結婚して権力を手中にして吸血鬼が常識としてまかり通っている世界で起こる切り裂きジャック事件がお話の中心になり、その謎に迫るのがドラキュラ伯爵より半世紀長く生きている違う血統の美少女ヴァンパイアとマイクロフト兄さんが所属する秘密の組織の諜報員。ほかにもその時代のありように翻弄されるヴァンパイアや普通の人間がたくさん出てきて群像劇を繰り広げるのだけど、読んでいて犯人が目の前にいてさほど周到でもないのに誰も真実にたどり着かない感じがどうにもやきもきさせられる。
時々差し挟まれる街の混乱やヴァンパイアの姦計などお話は混沌とする中で主人公二人の成り行きに、たしかにスパイの方の婚約者はしょーもない子だけどそうなるかなあ?って首をひねりながらあれよあれよと、これが書きたかったんだな、というクライマックスへ。

ブラム・ストーカーの本は読まなくても途中にいくつもエピソードの掘り起こしがあるので大丈夫。えらくページを割いている登場人物辞典を読まなくてもこれを手に取るような人は大概知っている人ばかりのオールスター出演は楽しい。まさかのキョンシーには笑ったわ。
お話のスタイルがつかめるまでは犯人がそこにいるのになにやってんだというのが強かったけどわかるとお話は面白くなったので、たぶん続きの方がもっと楽しくなりそう。
ヴラド・ツェペシュがとにかく気持ち悪い、疫病みたいな男だった。肖像画にしてもゲイリー・オールドマンが演じた彼にしても怖さより気持ち悪さがなぜか勝つのよね。性的魅力が発酵した感じ。
歴史改変ものって読みての我々は正しい歴史を知っているだけにお話は是正される、自浄していくような傾向を感じるけどこれもそうなんだろうかと、続きも気になっている。そしてすでに入手している。
いつ読むかわからないけれど手元の積ん読に控えさせておこう…

ドラキュラ戦記 (創元推理文庫)

ドラキュラ戦記 (創元推理文庫)

屍者の帝国

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霊幻道士2 キョンシーの息子たち!  デジタル・リマスター版〈日本語吹替収録版〉 [DVD]

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エレファント・マン [DVD]

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