- 作者: フォルカー・クッチャー,酒寄進一
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/08/25
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予想外の面白さではあったけれど、痛快さより主人公をひっぱたいてやりたい気になったから。なんとまあ、ストレスを感じるやつであることよ。
お父さんが地方都市の警察官として高い位にいて、自分の不祥事もコネを生かして首都の警察に栄転ちかい左遷になった主人公が、自分の求めている業務内容ではないいまの仕事に腐っている時点で反省してない。
そう、この主人公は、学びはしても反省はしない。そして自分のことを棚にあげすぎ。
根っからの悪漢ならノワール小説の主人公として成り立つけれど、こいつは自分は正義の味方のつもりでもいるから始末が悪い。恋愛にしても自分勝手。
やることなすこと、なにやってんだこいつと呆れながら事態の成り行きを最後まで見守り、見守り、見守り…お話としてはこういうのも悪くはないと思うけど…
時代背景はナチス台頭直前で様様な主義主張がぶつかり合って剣呑な中、ロシア貴族の金塊という秘密も絡んで冒険小説の雰囲気もあり、面白いんだけど…実在の人物も使っているし。
ここからネタバレ
結局自体を悪い方向へ引っ掻き回しておいて、パパの友達の手厚いフォローと自分より聡明なガールフレンドに助言してもらって結果オーライの解決かーい!
って、ムカつくのよね。
お話の流れからいっていつぶっ殺されてもおかしくないのに、殺されなかったのは雑魚扱いでスルーされていたのでは、という受け取り方がきっと正しいのにこいつ主人公だよ…!
こんなに自分の心が荒ぶるくらい、動かされたってことでいいんだろうか。
面白かったけど、ムカついたのでした。たぶんこれが作者の狙いでは…