夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

シャンナ・スウェンドソン おせっかいなゴッドマザー (株)魔法製作所

おせっかいなゴッドマザー―(株)魔法製作所 (創元推理文庫)

おせっかいなゴッドマザー―(株)魔法製作所 (創元推理文庫)

3巻目。
2巻のラストで晴れて思いが通じあったケイティとオーウェンのこれからハッピーで甘い日々が始まると思ったらそうは行かなくて、ケイティはポンコツな感じがするフェアリーゴッドマザーに目をつけられて世話を焼かれてそれがたいてい逆効果でデートが台無し、前作で捕まえたスパイはお話の数ページ目で逃げ出して、逃した犯人をオーウェンと追うことになったり、クリスマスにオーウェンの里親を訪ねることになったりと思い通りに行かずに超忙しくなってしまうという展開。
このフェアリーゴッドマザーというのが、わかりやすく言うと恋のキューピッドみたいな存在らしいのだけど、ケイティに対しては本当におせっかいがすぎる。
またそれを、説得すれば止められるとでも思っているらしいケイティが事態が深刻に、洒落にならない状態になるまで一人で向き合っているからおせっかいが右肩上がりにひどくなっていってしまうのが読んでいてなかなか忍耐力を養われる。
前回の赤い靴のことでも一人で解決できるどころかひどいことになって結局オーウェンに助けられたのだから、自分の力で何とかしたい気持ちはわからないでもないけれど、学びなさいよ、と。


それでも恋人同士になったケイティとオーウェンがひどいデートを重ねつつも楽しそうにキャッキャウフフしているのは決して悪くないと思うのでした。仕事を優先しつつうっかり公私混同しそうになるオーウェンが可愛すぎる。会議でケイティのためにマジギレするオーウェンが可愛すぎる。手品勝負するオーウェン素敵すぎる。ドラゴンも手懐けるオーウェンがかっこ良すぎる。なんだかんだいってケイティと一緒にいたがるオーウェンが、もう!サイッコーに可愛い!


…では、ここからネタバレ。


あくまでもケイティは等身大なので嫌なやつな部分もあるのがアリを取り込んだ時に魔術として反映しているのが、ヒロインを美化せずありのままの姿を投影していて悪くない。愚かな部分もあるからフェアリーゴッドマザーを看過してしまうという、お話の荒れる部分に説得力をもたせている。
結果的にオーウェンとの結びつきは深まったけど、彼にとってかけがえのない人になる=最強の魔法使いの弱点になってしまうというとてもロマンティックな結果を生み出してしまった。で、思いつめたケイティはまたひとりで決意してオーウェンの元を去ることになるのでした。…だから、そこは話し合いなさいよ。お話は面白くなくなるけど。

ケイティの秘密を知ることになったルームメイトたちは個性豊かで書き分けも出来てると思ったのはクリスマスにオーウェンの里帰りにケイティがついていくために、お洋服を選んであげるくだり。マルシアは知的でジェンマはおしゃれにうるさい。

大晦日から新年になった瞬間からケイティが荒ぶった展開は見ていてまたもや痛々しかった。ヒロインなのに結構汚れ役。汚れても汚れても立ち上がるのが彼女の面白いところなので、新刊でもそうあってほしいな。

アリが逃亡した関連の話で実はケイティは5巻に続く真実に近づいていたり、5巻を思うと切なくなるオーウェンの里帰りなど、5巻への伏線も多く含まれていて読み直さないとわからなかったことも多い。そのへん、オーウェンが無駄なくらい素敵で可愛いだけのお話じゃなくてちゃんとしてるので嬉しいのでした。

…序盤の、パーティ帰りにケイティのアパートに立ち寄るオーウェン(のタキシード姿っていいですなあ)がルームメイトに出くわしてジェンマとマルシアが理性を狂わせてオーウェンが恥ずかしがるくだり、その時のケイティの心の舞い上がりっぷり、面白かったなあ。ケイティってアメリカの元気な女性そのものって感じで、「フレンズ」のモニカに似てると思った箇所だった。

ゴッドマザーに苛立つ部分もかなりあるけど室内ピクニックとか甘いエピソードを挙げて行ったらこの巻も多く収穫あった。オーウェンの魅力右肩上がり。

そして既刊シリーズで一番好きなお話「コブの怪しい魔法使い」につづきます。

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